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雨の使者

いせざきとうこ
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<物語『雨の使者』>

わたしが近づくと、やぐらの鐘が鳴る。
ばたん、ばたんと戸が閉じる。


ちがう。
怖がらせに来たんじゃない。


雨が、必要でしょう。
穀物がなるように、花が咲くように。

だから来たよ。

言っても誰も聞いてはくれなくて

わたしが涙したら
戸は、より固く閉まるようになった。


その音が聞こえないように、たくさんの雨を降らせた。

ざあざあ、ざあざあ。

降らせるほどに、鐘が鳴る。


からん、からん。
家に帰れ-、帰れ-。


野太い声がする。
子どもたちが家に駆け込む。


ああ。
わたしには帰るところがないよ。


ざあ、ざあ。
たくさんの雨が降る。

いつからか
どのくらい降らせれば良いのかわからなくなった。


鎧で全身を覆い、ただただ雨を降らせた。


どれだけ心を痛めても
雨は必要なのだと
そのことだけは知っていた。


ばたん、とかすかな音がした。

「花が咲いたよ。ありがとう」

少女の声は幻聴だ。
わたしの夢が見せる幻想だ。


ばたん、ばたん。
戸が閉まる。やぐらの鐘が鳴る。

家に帰れー、帰れ―。


心を凍らせ
追い立てられるように


急いで急いで、
雨の使者は、空を駆けていく。


次の村に、行かなきゃ。
怖い村だ。わたしが行くと、皆が怒る。
それでも行かなきゃ。


「ずっとあなたを待ってたよ。花が咲いたよ」


呼びかける少女の声を聞きながら
これは夢だと、花の咲いた村を通り過ぎる。

<完>
---
雨の使者が左へと駆けていく、迫力のある絵です。

【備考】
・納期:1週間
・水彩画/フレーム(額)あり

price
¥ 132,840
size
25.5×31.6cm
taste
水彩画
tone
カラフル

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